こんにちは!
デザイナーの伊東です。
最近「日本のデザイン」という本を読み終えたので、今回はこの本を読んで感じたことをご紹介しようと思います。
本のタイトルに「日本の」とありますが、幅広くデザインに対する考え方を学ぶことができました。
著者は、グラフィックデザイナーの原研哉さんという方です。
原さんは東京オリンピックの最初のエンブレムコンペで次点となったデザインを作成され、エンブレムのコンセプトをWeb上で公開されて話題となりました。
ツールやソフトウェアの使い方はネット上で得られることもたくさんありますが、デザインの概念や考え方に関しては、たくさんの人の考えを吸収することが大切だと思います。
インプットしたことを整理する意味でも、今回は本の紹介を題材にさせていただきました。
最後までお付き合いよろしくお願いします!
人々の欲望とデザイン
著者が「デザインとは何か」を言い表した表現がとても印象に残っています。
製品や環境は、人々の欲望という「土壌」からの「収穫物」である。よい製品や環境を生み出すにはよく肥えた土壌、すなわち高い欲望の水準を実現しなくてはならない。
– 原研哉「日本のデザイン」
人々の欲望、もしくは潜在的な欲求を見出して、それにきちんと応えるものが素晴らしいデザインだということだと感じました。
この本の最後の章には、東日本大震災後の未来にデザインがどう貢献できるかが考察されています。
大きな損失の後には必ず様々な欲求が生まれ、最先端の技術や質の高いデザインでいかに人々の需要を満たしていくかという内容が記されていました。
何が必要とされているかを的確に判断し、求められているもの以上のデザインを提供できるデザイナーになれるよう心がけていきたいです。
「もの」を作るよりも「こと」をつくる
この言葉は文中に何回も出てくる、著者のデザイナーとしてのあり方を表現した言葉です。
デザイナーとして「もの」を生み出すだけでなく、その先にある人々の生活や環境まで考えてデザインするという意味が込められています。
単に技術を磨くだけでは、本当の意味で世の中の役にたつ仕事をすることは難しいと思います。「こと」をつくるにはデザイン以外の様々な領域の知識が必要だということをこの本を読んで強く感じました。
引き出しをできるだけ用意して、またその中から自分の強みもしっかりと見極めて、「こと」を作ることができるデザイナーを目指していきたいと思います。
さいごに
著者が考える「日本のデザイン」のこと以外にも、「デザイン」という枠を超えた、物事に対する考え方がこの本には数多く記されていました。
その中でも印象に残っている「鶏口牛後」という言葉を最後にご紹介します。「むしろ鶏口となるも牛後となるなかれ」という中国の史記に出てくる言葉が元となった4文字熟語で、大きな組織のしっぽになるより小さな組織でもその頭になったほうがいい、という意味だそうです。
主体性を持って自ら学ぶ姿勢を忘れずに、これからも精進していきたいと思います。
今度は技術的な内容をご紹介しようと思っています。
次回もよろしくお願いします!