こんにちは、ディレクター/マーケターの大橋です。
今回は、シリコンバレーで注目されている「プロダクト・レッド・グロース」について、私なりの解釈も交えて解説いたします。
SaaS界隈で話題となっている書籍『PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』を参考にしておりますので、詳しく知りたい方はぜひご一読ください。
知覚価値・体験価値とは?
知覚価値
商品やサービスに対し、ユーザーが購入前に期待している価値のこと。
体験価値
ユーザーが商品やサービスを利用することで得られる価値のこと。
知覚価値と体験価値のズレにより生まれる「バリュー・ギャップ」
知覚価値と体験価値は等しい状態が理想であり、ズレが発生する状態を「バリュー・ギャップ」と言います。
知覚価値と体験価値がズレるとはどのような状態かというと、
①体験価値を知覚価値として適切に伝えられておらず、もったいない状態になっている
②知覚価値が体験価値を上回っており、商品やサービスを体験した際にユーザーの期待はずれが発生している
の2つが挙げらます。
①は営業部やマーケティング部が、商品やサービスがユーザーに提供している価値を的確に理解できていないことで起こることが多いです。
この場合は、社内で部署間の情報共有を強化することで解決できる可能性が高いため、大きな問題ではないと思われます。
問題なのは②のケースです。
分かりやすく説明すると、できもしないことを伝えてユーザーの知覚価値を上げることには成功したが、実際に商品やサービスを利用したユーザーの期待を裏切ってしまっているということになります。
知覚価値が高まっているため無料登録はしてもらえたが、リピート利用は無く有料登録をしてもらえないというようなことが起こります。
このような「バリュー・ギャップ」を起こさないためには、以下の3つのポイントを気をつけましょう。
バリュー・ギャップを防ぐ3つのポイント
①アビリティ・デッドを無くす
②ユーザーの購入理由を理解する
③商品・サービスが提供できる価値以上のことを約束しない
順番に解説します。
①アビリティ・デッドを無くす
聞き慣れない言葉かもしれませんが、私はアビリティ・デッドを「ユーザーが商品・サービスを利用する際にストレスとなるもの」と解釈しています。
事例として、グラフィックツールを提供するスナッパ社が紹介されています。
スナッパ社では、サービス開始当初から新規会員登録時にメール認証を採用していました。
しかし、27%のユーザーがメール認証を行わず、新規会員登録を断念していたそうです。
そこで、すぐにメール認証を無くしたところ、収益が20%アップしたとのこと。
商品・サービスを提供する上で、アビリティ・デッドをゼロにするのは難しいかもしれません。
ですが、限りなくゼロに近づける努力は必要ですね。
②ユーザーの購入理由を理解する
ユーザーがなぜその商品・サービスを利用するのかを理解できれば、最適な機能を訴求することができます。
このことは、簡単なようで非常に難しいことです。
自社の商品・サービスが、「どんな成果を達成することを支援しているのか」を徹底的に考える必要がありそうです。
③商品・サービスが提供できる価値以上のことを約束しない
バリュー・ギャップを無くすには、正しい期待値を設定する必要があります。
得てして、ユーザーを増やすために体験価値以上の価値を知覚させようとしがちです。
一時的にユーザーは増えるかもしれませんが、優良顧客にはなりませんしブランドを傷つけることにもなりかねません。
まとめ
『PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』ではSaaS業界に向けた内容になっていますが、どんな業界にでも当てはまる考え方だと思います。
①アビリティ・デッドを無くす
②ユーザーの購入理由を理解する
③商品・サービスが提供できる価値以上のことを約束しない
年末年始に、この3つのポイントに沿って商品・サービスを見直してみるのも良いのではないでしょうか。
それでは皆様よいお年を!