こんにちは!
デザイナーの伊東です。
今回から不定期で、DTPについてのエントリーを数回に分けてお届けしようと思います。
というのも、現在進行中で大型のDTP案件が進行中で、自分自身改めて復習しておいた方が良さそうな内容が出てきたので、備忘録も含めて記事に残そうと思った次第です。
Webのデザイン中心だったけどDTPもやることになった!っていう方や、パンフレットを発注することになったけど、デザイナーの言葉が難しくてわからない。。なんていう企業の広報担当者様にぜひ読んでいただきたいと思っています!
第一弾は、”特色“についてです。
特色って何?という方に向けて、0からご説明いたします。
最後までよろしくお願いいたします!
“版”って何?
特色をご説明するには、まず”版“というものをご理解いただく必要があります。
通常CMYKで印刷データを作成する場合、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の4色を組み合わせて色を作り、入稿データを作られるかと思います。
その場合、印刷会社では4つの”版”というものを用意します。
その”版”一つひとつにCMYKの各色を乗せて印刷をかけます。
例えば、C(シアン)50%、M(マゼンタ)100%の1色刷りの場合は、C(シアン)のインクを乗せた版と、M(マゼンタ)のインクを乗せた版の2つの版で印刷が行われるというわけです。
“特色”って何?
いよいよ本題です。”特色“とは何かを解説していきます。
“特色”とは、CMYKのように複数の色(版)を組み合わせて表現された1色ではなく、あらかじめ調合された1色の色のことを言います。
例えばこのような紫色が、CMYKと特色とではどのように違ってくるのでしょうか。
CMYKの場合は、先ほどの”版”の説明にあったように、C(シアン)50%、M(マゼンタ)100%の2つの版が必要です。
しかし特色の場合は、データ上はC(シアン)50%、M(マゼンタ)100%の紫色であっても、印刷会社に入稿する際に別途1色の色を指定して印刷してもらいます。先ほど特色とは”あらかじめ調合された1色の色のこと”と説明した通り、版は1つで済むわけです。
特色のメリット
特色がどういうものかをご説明してきましたが、どのようなメリットが考えられるでしょうか?
CMYKと違い複数のインクを混ぜに純粋な1色を指定しますので、濁りがなく鮮やかですし、思い描いた通りの色が安定して表現できるということがあげらます。
また、CMYKでは表現できないゴールドやシルバーなどの特殊な色を指定することも可能です。
コスト面ではどうでしょうか?
例えば1枚のポスターのデータを作成する時、基本はCMYKで指定するけど、ここは特色で指定したい!となったとします。
すると、CMYKの4つの版+特色の1つの版=5つの版が必要になり、通常の印刷よりもコストが高くなってしまいます。
しかし、うまく使えばコストを下げられるケースもあるようです。
その1例が、スーパーのチラシです。
引用元:http://www.saimiru.com/page/89
こちらのデータでは、黄色の紙をベースに、赤と黒の2色で印刷しています。
CMYKの場合、赤色を表現するのに複数の版を必要としますが、特色では赤と黒の2つの版でOKです。
このように、CMYKよりも使用する版の数が少なければ、印刷コストを削減できるケースもあるようです。
“特色”を指定する
では、実際にどのように特色を指定すればよいのでしょうか?
まずは入稿データの作り方です。
基本的に、Illustratorの場合は特色の”スウォッチ”を作成します。
“スウォッチ”のウィンドウを開き、”スウォッチの新規追加”を選択するとダイアログが表示されます。
“カラータイプ”を、”プロセスカラー”から”特色”に変更すれば設定完了です。
これで完成したカラーは、あくまでも”ディスプレイで表示する用の色”であり、実際に印刷される色ではないことをご注意ください。
実際に印刷される時の色は、入稿時に印刷会社に指定することが必要です。
この時の指定方法は様々ですが、一般的には”DICカラーガイド“という色見本をみて指定します。
引用元:http://www.dic-graphics.co.jp/products/cguide/
以上が大まかな特色の概要になります。
DTPには特色のようにWebとは違った独特なルールがたくさんあります。
これからもDTP用語の解説は定期的に配信していこうと思っていますので、お楽しみに!