こんにちは!
デザイナーの伊東です。
前回と同じく、今日もDTPについてです。
WebデザインではCSSで指定したカラーコード通りの色がきちんと表示されますが(モニターにもよりますが)、DTPとなると少し配慮が必要です。
配慮すべき点として特色については以前ご説明した通りですが、今回は3種類の”黒”についてのお話です。
DTPでは”黒”にもいろんな種類がありますよ、っていうことをご紹介します。
引き続きDTP初心者の方向けに、噛み砕いてお伝えできればと思っています。
それでは早速参りましょう!
スミベタ
“スミベタ“は、CMYKのうちK(黒)を100%に設定した色です。主に線や文字によく使われます。
C、M、Yのどの色も使わないため、Kの版のみで色を表現することができます。
(”版”の説明については、「DTP入門part.1 グラフィックデザインでよく聞く特色とは?」をご確認ください)
1つの版のみで黒を表すメリットとして、”見当ズレ“が発生しないという点が挙げられます。
“見当ズレ”とは、紙の収縮などによって起こるわずかなズレのことを言います。
引用元:https://www.wave-inc.co.jp/data/dtp/black.html
上の図の右上の文字を見るとよくわかるかと思いますが、複数の色で黒を出力した場合、他の色の版が微妙にずれると輪郭に色が滲む場合があります。”スミベタ”は、この”見当ズレ”の心配をする必要がありません。
ただし、他の色の上に重ねて広範囲にわたって”スミベタ”を使用する場合は、下の色が透けて見えてしまう点に注意が必要です。これを”オーバープリント“と呼びます。
引用元:https://www.nik-prt.co.jp/tech/dtp/overprint/
リッチブラック
“スミベタ”とは違い、複数の色を掛け合わせて作る黒のことを”リッチブラック“といいます。
一般的に、”スミベタ”よりも発色のいい綺麗な黒を表現できると言われています。
“リッチブラック”としてオススメされている色の比率は印刷会社によって微妙に違いますが、大体”C=40%,M=40%,Y=40%,K=100%”前後で作ることを推奨しています。
中にはCの値だけ少し高くしたりする場合もあるので、印刷を依頼する印刷会社に確認していただくのが確実です。
また、先ほどご説明した通り”リッチブラック”を使用する時には、他の色が滲んでしまう”見当ズレ”に注意しなければなりません。ちなみに、“見当ズレ”は細い線や文字で起こりやすいので、そういった場合は”スミベタ”を使用することをオススメします。
4色ベタ
名前の通り、CMYKの4色全てを100%使用した色です。
濃度が濃すぎてインクが用紙の裏にも移ってしまったり、トラブルも多いのであまり多く使用することはありません。
インクの濃度の上限は、印刷会社によって定められていることがあります。
例えば、C、M、Y、Kの各色の比率の合計が350%を超える場合は、350%以下に下げて印刷されるなどのルールがあります。
いかがだったでしょうか。
同じように見える”黒”でも、データ上では使い分けなければならないシチュエーションがあるんですね。
このように、DTPには独特のルールがたくさんあります。
普段Webのデザインばかりだと慣れない部分もたくさんありますが、実際に現物として印刷された時に狙い通りのものが上がって来た時にはグラフィックデザインの醍醐味を感じられます。
これからも継続的にDTPに関する知識を深め、ご紹介していきたいと思います。